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2016年7月 1日 (金)

友遠方より来る

浅い青の帽子を被って友は姿を現した。学生時代の運動の得意な体型をどこかに宿しながら、もう老人になった友はゆっくり歩いて近づいてきた。
私は部屋で待ちきれず、車いすを道まで出して待っていたのである。

玄関に入って彼の手を握る時、涙を禁じるのに努力が必要であった。
前日私は体調を崩していた。血圧が100から140ほどまで上がり、頭が重い。急遽、いつもの介護タクシーをお願いし病院に行った。
半日の検査や処置を終えてなんとか平静を保ったので友を迎える準備はそのままに置くことにした。それは特上の寿司を予約してあったということである。寿司を昼にいただきながら昔話を肴にビールを飲もうと友と約束してあったのだ。

彼は横浜の崎陽軒のシュウマイ、ココア、大和芋焼酎、北海道の小豆を使ったどら焼き、その他を次々と袋から取り出した。
冷蔵庫に冷やしてあったビールで先ず喉を潤しながら今朝早々届いていた寿司をつまむことにした。お互いの家庭の状況を交換しながら、樽の中の寿司を1つずつ減らしていったのだが、話は恩師のことから、仲間たちの下宿のこと、家庭教師で学費をまかなっていたこと、今体に抱えている困難などと拡散していった。

その中で、大学入試の初日、私が会場になっているK大学附属中学校の木造校舎の階段を松葉杖で上っている時、お手伝いしようか、と声をかけてくれたのが彼であったことも出た。入試から始まった交わりはこうして60年近くも続いているのだった。(続く)

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