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2014年1月27日 (月)

二枚の年賀状

手元に二枚の年賀状が残してある。
その一枚目の写真には車椅子に乗った小柄な女性が微笑んでいる。そして左脇に白いコートを着てベージュのスーツを身につけた若い女性、右には大柄な男性が車椅子を支えて立っている。明るい光を浴びて少し逆光気味の写真だが、背景は今度購入したというマンションらしい。
年賀の挨拶に加えて丁寧な字体で「早いもので娘も高校卒業です」とある。

この車椅子の女性は私が中学校で担任をしたHさんである。骨脆弱という病気でとても骨の折れやすい子だった。学校行事でバスに抱いて乗せるときも足を車体にぶつけるだけで骨折をしてしまうので先生たちは十分に注意を払ったものだ。

成長するにつれて骨折の危険も減り、高校は商業高校に進んだ。私は事前に学校に出向いて学科試験の結果が良ければ受け入れていただきたいとお願いし、学校生活上の配慮点などを伝えた。
幸いにも学校の理解を得、協力をいただいて彼女は学校生活を満喫し、卒業時には全生徒を代表して答辞を読んだ。

大手の会社に就職した彼女は最初のサラリーで青地に白のデザインのあるネクタイを買って学校に挨拶に来たのだった。

やがて良いパートナーに出会い(それが右側に立つ男性なのだが)出産することとなる。だが、どの病院も彼女の病気や体力の故に受け入れを渋り、1月に探し始めてようやく入院できたのは4月だった。それでも今手元に残っている昔の手紙には「様々な危険性をことあるごとに説明され、決して心穏やかな入院生活ではなかった」とある。
「家族に支えられ、お腹の中の『恵』に励まされたからこそ」の出産であった。そして「何ものにも代えがたい一生の宝物を手に入れた、そんな気分です」と手紙は結んでいる。
この宝物、「恵」が今、左側に立つお嬢さんである。

彼女が高校を卒業して何年立つのだろう。こんどはそのお嬢さんが高校を終える。本当に「早いもの」である。

さて、もう一枚の年賀状。送り主は教育実習生として私のところに来た車椅子の女性である。高校時代に病気で歩行ができなくなり、以後車椅子生活を送っているのだが、私は息子さんの成長をご主人の転勤でアメリカにいる時を含めて写真で見させていただいてきた。
葉書には「息子は金沢大学の医学部の一年生として過ごしています。」とあった。

二枚とも私には長い人生のドラマを見るような年賀状であった。その演出者である神のこころを覚えながら。

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