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2013年11月19日 (火)

妻の味

しばらくぶりに妻の味を堪能した。食事を終わって今私は満足感に浸っている。
妻が帰って来たわけではない(そうあってくれたらどんなにありがたいことか)。
実は妻の姉からたくさんの食品をいただいたのだ。富山のかまぼこを始めとして、昆布と小魚の佃煮、崎陽軒のシウマイ、錦松梅などなど、私は食材に疎いからこれ以上銘柄など説明できないのがどれも懐かしい味ばかりだった。
妻の家はその両親の時代乾物を商っていた。だから、味には人一倍のこだわりを持つ家柄だった。その家の娘は、いや息子たちまで食通で小うるさいところがあった。人形焼ひとつ買うにも上野のどの店がいいとかよく話題にしていたものだ。
農村出の私はせいぜいうどんの美味しさぐらいしか知らなかったが、妻との生活を通して食べることの楽しみを徐々に覚えていった。妻は学校の仲間を家に呼んだ時もお澄ましの下味にもこだわって皆を喜ばせた。
妻が逝ってしまってからは私は食事に注文を出すことなど全くしようとは思わなかった。用意されるものをいただくだけで十分とした。
その環境にあって、今日の贈り物は私を一足飛びにかの日の食事へと連れ戻したのだった。姉の味はかつて妻が習得した妻の実家の味であった。
私たちの結婚が妻の家族の反対を受けている中、最初に許したのがこの姉だったのだが、妹思いの姉は今日も食材に添えた手紙に「妹の分まで長生きしてください」としたためてくださっていた。

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「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

小説のようなすてきな話ですね。


”愛と感謝”決して忘れてはいけない感情ですよね。
そんなものがふんわり伝わってきました。

投稿: さくら | 2013年11月21日 (木) 18時41分

さくらさん、読んでくださってありがとうございます。「日毎の糧を今日も与え給え」と祈りながら、与えられていることを忘れ、不満を抱くことの多い私です。

投稿: chacchan | 2013年11月21日 (木) 19時48分

食事の楽しみは、私たち夫婦もchacchanさんと同じように増えました。
お互い出身地が近くはありませんし、
すると食材も違う、郷土の味も違う、食文化がかなり異なりました。
今の朝ドラのような・・・食事に対する面白さが広がりました。

私のブログ内にchacchanさんのブログをブックマークさせていただきました。
これで入院先でも迷わずおじゃまできます。

投稿: ひなりんご | 2013年11月21日 (木) 23時00分

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