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2012年5月30日 (水)

旅立ち

 どうやってミンちゃんは旅立つのだんだろう?
 「心配しないで」とミンちゃんが、まるでイタルの心の中を読んだように耳元で言った。「わたしはほんとうに大丈夫なの。ママにも言ったけど、行くのは悲しいことではないの」
「それでも、残ったぼくたちは悲しいよ。ミンちゃんはぼくたちのこと、忘れるのかな?」
「ぜったい忘れないよ。それにグランマが一緒だから何も心配ないの」
イタルはそれ以上なにも言わなかった。言えば泣きそうな気がした。
 
 「キップをなくして」の266頁、もう最後の場面からの引用である。
小学生のミンちゃんは駅でホームから転落して死んだ子だが全てをご存知の「駅長さん」のはからいで「駅の子」の仲間として過ごしてきた。だが、ようやくグランマがいる天に帰って行こうと決心したのだった。
 天国に行くのは悲しいことではない、とミンちゃんは言う。そうかもしれない。人はこの世の与えられた務めを終えると皆天に行くのだ。
 一方、イタルのこころも真実である。
 ミンちゃんが良い友達に見送られて天に帰って行って、駅の子たちがそれぞれの家庭に戻って、キップをなくしてはエンディングを迎えた。
 私をクリーニングしてくれた本ではあった。

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