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2011年12月15日 (木)

一人になった「友」のことば

未だ遺骨が部屋にあります、とその「友」は言った。初めてクラス担任をしたときに持った男である。
手紙を書こうにも今彼がどんな心境かわからない。慰めるにはあまりにも悲しい奥さんとの別れである。そこで夕食をしているかも知れないと案じつつ電話をした。
意外にも彼の声はしっかりしていた。声だけでなく一方的にしゃべる内容も理屈に合ったものだった。
夫婦といえども何時かは別れなければならない、だとすると歳を取ってから別れるより、今なら自分の生活を守っていく力が残っているからよしとしなくてはならない。悲しんでいては生きていけない、定年になったが嘱託で市役所に出ていることをバネにやっていきます。
彼はこんなことを早口にしゃべり続けた。
「あまり酒を呑むんじゃないよ」と私が言うと、「先生、飲んだら何もできないよ。今までなら酩酊しても後の片付けや戸締りは彼女がやってくれたけど、今は全部終わってから飲んでいるから大丈夫だよ」と少し本音とも思える現状を語ってくれた。
「帰って来ても家は真っ暗なんだものね」、「誰もいないところに『ただいま』と妻に言うように入るです」。
「そうだね、私も独り言が多くなっているよ」と応えて私は電話を切った。

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