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2011年9月 9日 (金)

「葛を見たりして、興奮して回ってきたよ」。電話の向こうでHさんの声は弾んでいた。
彼は入院中である。周囲の方は認知症などで会話のできない人が多いそうだ。最近娘さんに携帯電話を買ってもらったので、いつも電話してごめんね、と言いながらよく電話してくるようになった。
彼は自然が大好きで、健康なときには友人を率いて山歩きをしたり、野生の葉を天ぷらにして皆に供したものだ。
その彼が入院したのは自分では金銭の管理も許されず、病院から出ることもできないところだった。今日の娘さんの話では窓を開けることもできないから蝉の声も聞こえないし、樹木も見えないとのこと。
今日は娘さんが付き添って公園に出かけたのだ。先日の電話でもこれを楽しみにしていることを語っていた。
今日は暑かっただろう、と私が言うと、興奮して歩いたのでわからなかったよ、と彼は即答した。葛を見たりしてさ、とも言った。
葛が目に止まったことはいかにも彼らしい。Hさんらしさがしっかり残っている証拠である。それだけに今の環境が哀れでならない。
早く退院できて、風を感じ、好きな草木に触れる日常に身を置いてほしいと祈らずにはおられない。

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コメント

先生、ご無沙汰しています。
こうりゅう広場をいつも読ませていただいています。文中のHさんとはもしやはま先生のことでしょうか?体調を崩されていると聞いておりました。早く回復されますようお祈りしております。
先生もどうぞお身体お大事にお過ごしください。              

投稿: うすい | 2011年9月12日 (月) 21時05分

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