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2011年4月13日 (水)

時移り、人代わる

菜の花が咲き、2 冷っこい風の中、少し離れた字にあるお寺さんに櫻を見に出かけた。
車椅子のバッテリーを気にしながら田の広がる道を進むと、途中で見知らぬ女性が「いいお天気になりましたね」と声を掛ける。
寺では境内に古木の櫻が4本ほど満開になっていた。駐車場の櫻はもっと見事で、つきたての餅が宙に浮いたように大きな拡がりを見せていた。
狭い境内なので数分留まっただけで外に出たのだが、ふと少年時代の友の家が近くにあることを思い出して訪ねることにした。
歩けない私を自転車の荷台に乗せて時々連れていってくれた体の大きな友だった。庭があって、黒光りの縁側が付いている大きな農家だった。その縁側から畳の部屋に案内されて話し込んだ想い出がある。
数頭の牛が傾いた小屋の中でばらばらになにやら食んでいる。その傍を車椅子をガタガタ言わせながら庭に回りこんだのだが、そこは車の回転も自由にはならない狭いところになっていた。耕運機につながれた犬が長いひもを引きずりながら吠え立てた。
家自体もすっかり古ぼけ、人が住んでいるのかどうかあやしい。サッシ戸になっている玄関を開け、ごめんください、と中を覗いたのだが、返事はなかった。
そうそうに車椅子を巡らせ、道に出た。そしてもしや近くに別の家を構えているのかもしれないと想像しつつ見渡したがそれらしき家の姿はなかった。
60年という年月はあまりにも長い歳月であったのだ。

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