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2009年8月 6日 (木)

辛い一言

「俺なんか覚えていないよね」。真っ黒に日焼けしたF君はそう言ったが、真顔であった。
小学校、中学校と共に机を並べた友の告別式を終えて、近くの大型スーパーの食堂での会話で出た言葉だった。
葬儀に出たのは十数人の同級生だった。彼らは時々会っているらしく、他の友の動静もよく知っていた。私は田舎に帰ってから一度も昔の友と席を共にしたことはなかったから今回のS君の他界の連絡もなかった。たまたま葬儀場が我家の近くだったので情報を得て昨夜の御通夜と今日の告別式に参列がかなったのだ。S君は小学時代、中学時代親しく接し、小学時代には杖を学校に持って行ってない時など便所まで背負ってくれたり、中学の頃は彼の家に泊まって将来を語り合った最も親しい友の一人だった。
式が終わって食事に行くことになった。女性の一人に誘われたのが嬉しくて、少し遅れて駆けつけると彼らは談笑していた。私も直ぐに受け入れられたが多くの友の名前が思い出せない。しかたなく近くの女性に全員の名前を紹介してもらう始末であった。
そんな中で、F君が冒頭の言葉を言ったのだ。「俺なんか勉強はまったく縁がなかったからHさんなんかとは別組みだったもんね」。彼はそう付け足した。
「いや、覚えているよ。お寺の前で花屋さんをやっている家だったね。お袋がよく世話になっていたよ」。そう答えると「そうかい」と言って明るい顔になった。
  
私は同じ意味の言葉をあちこちで投げかけられる。その度に胸を刺される思いがするのだ。学力を誇示し、交わる友を絞って交際し、関係を持たない友を遠くに見て自己の世界を保っている。そんな気はまったくなかったのだが、投げかけられる言葉は私の認識とは別の態度で私がいた、ということを否応なしに知らせる結果になるのだった。

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