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2009年6月 2日 (火)

麻酔からの帰還

「○○さん、手術終わりましたよ。目を開けてください。」「手術、終わりました。分かりますか。」右の耳からやさしい女性の声が聞こえる。
手術室に入って、丸いライトが密集する照明の下に位置して寝かされたのは覚えているがその後のことは空白であった。どれほどの時が経過したか分からない。
声は濃霧の中、そこだけが明るく開けているところから発せられていた。
「目を開けてみてください。」
私はなんとか声の主に応えようとするのだが、どうしたら目を開けられるのか分からなかった。声も出せなかった。
霧の世界はやがて鍾乳洞のなかにある石筍が幾何学模様になって床から立ち上がっている広大な部屋に変わっていった。そしてまた他の空間にも。残念ながらその模様は覚えていない。
やがて声が出て、手足が運動感覚と取り戻したのは何分後だったろうか。
麻酔からの帰還はこんな具合であった。
後に麻酔科の医師に聞くと、最初に機能を取り戻すのが聴覚なのだそうだ。
  
全身麻酔は他にもいたずらをした。ベッドに帰って眠る時、目を閉じるとたちまちに今置かれている世界とは異なる光景が現れた。幻視の世界と言ってもいい。その中の私がなにやらこちらにいる私に手渡そうとしていた。それは目を開けると中断するのだが。
膀胱が正常に機能しないことも麻酔の影響らしかった。
術前にいただいた麻酔に関する説明書にはこんなことは書かれていないことなのだが。

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