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2008年12月12日 (金)

妻の聖書

遺影に花が寄り添っている台の上に聖書が置いてある。手垢で黒ずんだ赤紫色のカバーが掛かった分厚い聖書である。
夕方書斎の作業が終わって居間に移ると靴を脱いで畳のある部分に席を占める。ひとっきりニンテンドーDSでゲームをしてもまだ孫とママは帰ってこない。そのとき私は聖書を開く。箇所は「信徒の友」という雑誌で日々の聖句として選ばれているところだ。
聖書を開くと、鉛筆が転がり落ちる。妻が小さなノートと一緒にページの間に挟んでいたものだ。目が不自由だったにもかかわらず、聖日ごとに説教の内容を妻はこのノートにメモしていた。2月4日には入院になるのだが、ノートを見ると1月末までせっせと書いていたことが分かる。
聖書には他に、聖句が載ったしおり、週報なども挿まれている。
こんなにして礼拝に出て、神の言葉を聞いていた妻だった。
私はその彼女の体臭のする聖書を今日も開こう。

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