« 弟になる | トップページ | 会話 »

2008年6月28日 (土)

もう少し一緒にいてね

医師と話すために早く病院に行った。一人だったので見ず知らずの方に車イスをおろしてもらった。
話の中心は輸血と高単位の点滴をどうするかだ。血小板が今月10日に13万あったのに一週間後には8.4万になり先週は5.6万、昨日は2.6万だという。出血が体の内部で起きた場合これでは止まらないかもしれない。
点滴を変えてもこれで元気になるかどうか、むくみが抑えられるかどうかも不明だという。体力の強化にはつながらないかもしれないのだ。だがもう針を刺す血管がなくなってきている。肘の裏側は両手とも紫色の瘢痕が痛々しい。
私はこう言った。「先月の重篤な日から40日、恵みをいただいて生かされてきました。この世での交わりを許されてきました。先生や看護師さんには大変お世話になっています。これから何日妻とこの世での共に生きる生活が与えられるかわかりませんが、できるなら少しでも妻の体を落ち着かせて、苦しみのない状態で最後のこの世での交わりをしたいと思います。そのために少しでも役立つなら輸血と点滴をお願いします。」
いつものことだが私は涙を流しながら途切れ途切れに話を終えた。そして病室で妻に今やろうとしていることの許可を受けた。
 
早速鼠蹊部から大きな静脈に管を差し込む措置が取られた。廊下で待ったのだが医師と看護師が20分以上も作業をしたように思えた。
医師たちが去って、二人だけになってから手を握りながら「先日T・Sさんが言ったように神様の下に行って、おばあちゃんやおじいちゃんと一緒に過ごしても何にも問題はないんだけど、ぼくはもう少しおかあちゃんと一緒に話したり、こうして手を握っていたいんだ。だから神様にそう祈っているよ。この手は本当にたくさんのことをしてくれたものね。お母あちゃんもそう思うだろう。子供たちもきっとお母ちゃんに、もっと皆と一緒にいて欲しいと思っているよ」
妻はうつろな目をしながらうなづいていた。

|

« 弟になる | トップページ | 会話 »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/136400/41670510

この記事へのトラックバック一覧です: もう少し一緒にいてね:

« 弟になる | トップページ | 会話 »