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2007年2月 6日 (火)

病院で

泌尿器科の診察の日だった。待合室で山並みを眺めたり、手前を走る新幹線をぼんやりと見つめていると窓際に坐った男性二人の会話が耳に入ってきた。一人は前立腺癌にかかっているらしかった。しかし八十歳を過ぎているので手術はできずに、ホルモン注射で治療しているとのこと。そして、「癌で死ぬかどうかは分からないですね。男性の寿命は八十歳前後だから寿命が来て死ぬことのほうが多いでしょうね」と静かに、穏やかに相手の方に語りかけていた。
聞く小柄な男性もそのお顔にふさわしい帽子を被って、うなずきながら応じていたがおもむろに「何かの病気がないと死ねないからね。病気があってもいいんですな」と話を引き取った。
看護師がカルテを待合室の人に渡すために診察室からたびたび出てきては消える中、隅の椅子で二人の会話は静かに続いていた。

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