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2007年1月 2日 (火)

記念誌を読む

東京に整肢療護園という療育施設がある。設立は確か昭和17年だった。手足に不自由を持つ子どもたちが単に整形外科的な措置だけでなく、職能的にも、教育面でも適切に援助を受けてすこやかに成長するようにと願って作られた施設である。戦争によって大きな被害を受けたが戦後又復活し、設立当時とはだいぶ様変わりしたが今でもその存在意義を保持している。
この療護園の同窓会が先日50周年を迎え、記念式典を日本青年館で祝った。同時に記念誌を発行した。それは記念式典の様子をカラー写真でふんだんに取り入れ豪華本になっている。今わたしは少しずつ読み進めているところだが、これは単なる一同窓会の記念誌というにとどまらず、この50年の障害を持つ人たちの歴史書であるという感を強くしている。
障害を持つ人たちが進学を拒否される姿、しかしそれ以前の日本とは違いまったく埒外に置かれるでもなくなっている様子が記され、中には大学での優秀さを誇る手記まである。
就職や職場では懸命に社会適応しようとしてがんばり、成果を収めるものが居る一方で無理がたたって体を傷める事例もある。また学業面と同様に立派に会社に貢献し満足感に浸る事例も紹介される。
結婚し家庭を持つ喜びが綴られる文章の一部には、伴侶にも理解されない障害を持つものの心が率直に披瀝されたりもする。
障害を持つ自分と家族の日々の姿も随所に書かれているが、ここに見る悲喜こもごもをわたしは自分の体験と重ねつつある箇所では喜び、またあるページでは心を引きつらせながら読み進めた。
こうしてみると、この50年は障害を持つ者が社会の一員として自己を主張し始め、古い社会と格闘した期間であったのかもしれないという気がしてくる。だから「成功」した者が己を誇るのは当然かもしれないし一方では戦によって疲れ傷付くものも居たのだ。
ともかくも療護園の卒園者がこうして自覚的に己の生きてきた姿を文章化できたのは療護園が一人一人の存在を受け入れるよい環境を作り上げていたということだろう。まだ前半の一部を読んだだけなのだが、この本は同窓会内部だけで読むには惜しい気がしてならない。

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コメント

明けましておめでとうございます~
渋沢先生、ご無沙汰して申し訳ありません~

これが噂のブログですか?おお~

整肢療護園が50周年なんですね。私も就学前に入園して「親元を離された悲しい場所」としか思い出がありません・・・
何分子供の時なので意義も理解できませんでした。

早々と年賀状をありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします

投稿: 森 猛 | 2007年1月 2日 (火) 20時26分

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