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2006年6月26日 (月)

しばらくぶりの訪問

 本庄総合病院で看護を受けていたY・M先生を一年半ぶりに訪ねた。前回は一昨年のいつだっただろう。原因不明の発熱でわたしが入院したりして去年は一度もお会いしていなかった。
 先生は明治41年10月4日のお生まれとおっしゃっていたから、今年は97歳になるはずだ。小学校でも中学校でもお世話になり、教師というより母のような方であった。
 以前お目にかかったとき、優しい目の奥にわたしの子ども時代をしっかり納めていてくださる思いがして、わたしは懐かしさに向き合っている喜びを感じつつ、先生と面会していた。現在のわたしの生活をお話してもすぐにお忘れになって、同じことを何度も話しながら小さくなったおばあちゃん先生との時間をわたしは楽しんだ。
 昨日はもしかしたらもういらっしゃらないかもしれないと内心心配しつつ、和子と一緒に特別の病棟に向かい、エレベーターを降りた。
 いつもの介護職員が数人、固まって食事をしていた。
 「Y・Mさんはいらっしゃいますか」わたしはそう問うた。
 すると彼女らは顔を見合わせて、もういません、と顔を振った。

 先生は昨年、いや職員もいつだったかはっきり時期は答えなかったが、どうも去年らしいのだ、亡くなったとのことだった。
 その答え方から先生はもう「過去の入所者の一人」になってしまったようだったので、それ以上のことは問わなかった。
 「先生がお世話になりました」とお礼を言って、頭を下げ、わたしはその場を辞した。

 家族もない先生はどんな見送りを受けて旅立ったのだろう、そう思いつつ日曜日でさんかんとした病院の長い廊下を玄関に向かった。
 

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