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2006年2月13日 (月)

中学時代の恩師

わたしは一回り大きくなった気がする。育ってきた日々が肯定され、その中身が豊かに耕された思いがするからである。

この作業は懐かしい恩師の言葉を通してなされた。中学時代に一年間担任だったS先生が今朝来てくださったのだ。先生は78歳の今、お元気に浜松町で美術教室を主宰しておられる。

先生は玄関と書斎に掛けてある絵を見て、わたしが絵を描くことを大変喜んでくださった。サインをする場所やちょっとした絵の具の付け方のまずさを指摘されたが、手慰みに描いた絵は思いのほか先生に感動を与えたようだった。九月には東京駅近くの会場で美術展を開くからそれまでに一枚描いておくようにとのこと。

6時間ほど我が家におられたその間、ほとんど先生が話された。先生によればわたしは以前から感情を作文に込めたのだそうだ。絵も一生懸命に描くより、熱中して描くことがだいじだそうで、先生の教室でも個性を伸ばすことを大事にしているという。

わたしたちを受け持っていた時にも、いつでも辞めてよいという思いで授業は自由にやったらしい。そういえば授業中に河原に出かけたことがあった。これは詩や作文を書かせるにも体験が先行しなくてはならないから、ノートと鉛筆を一本持たせて、見たもの、感じたことを単語でもいいから書きなさいと言ってやった授業だったのだそうだ。何も書けない生徒でも水に入ったら「冷たかった」と書けるし、空を見て「真っ青」とノートに記せる。これが狙いだったと述懐された。河原へ出かける一団を見ている他のクラスでは生徒たちが大騒ぎだったのだそうだ。

あまりに自由な先生は保護者にも敬遠され、何かと話題を蒔き、2年間だけで教職を辞めていった。そして、上京ししばらくして美術研究所を開いたのだ。

今日は先生はわたしが4人の子どもを育て、それぞれが自立し、孫もいることを知って、「涙が出そう」と喜んでくださった。写真を見せると「もらって行きたい」とも言い、奥さんも偉いわね、と何度も褒めた。

こんなに話し好きだった方とは思わず、最初は戸惑ったが、半日お相手する間にわたしはこの方に養われ、守られたのだったと実感したのだった。

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