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2005年10月14日 (金)

自分しかいないさ

 手押し車をおしておじさんが一日に一度は横の道を通る。わたしより歳を重ねた方である。歩くのが不自由で、歩幅も小さく、チョコチョコと足を出して、真剣に歩いていく。以前はステッキを突いていたが最近は買い物を入れるバッグが付いた車を押している。

 おじさんは一人暮らしらしい。だから毎日日用品を自分で用意しなくてはならないのだ。家内はこのおじさんに会うと必ず「おじさん、元気?」と挨拶をするから、もう顔なじみである。

 午後わたしはパソコンに疲れて外に出た。そこにおじさんがやって来た。「今度カインズホームが近くにできて便利になりましたね」と家内が話しかけると「そうだね」と立ち止まり、背を伸ばして応えてくれた。

 「デーサービスは行ってないの」また妻が聞く。「行ってたけどS会(宗教団体)が入ってきてめちゃくちゃさ。もう、あそこは行かない」おじさんは怒ったようにこう答えた。

 「俺たちには神様も仏様もないよ。あるのはこの俺だけだ」おじさんは怒ったように言った。そして、今は週に一度別の施設のデーサービスを受けている、風呂に入って、ご飯を一食食べさせてもらうの楽しみだと話してくれた。

 少しして、おじさんは「じゃ、行ってきます」と言い、古いトレパンを引きずるようにして遠ざかって行った。

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